創業8年目で迎えた「第二創業期」。代表交代で加速する microCMS の成長戦略

 
2024年6月にエイチームグループの傘下に入り、1年半ほどが経過したmicroCMS。このたび創業者の松田承一が代表取締役を退任し、共同創業者の柴田和祈が新代表取締役に就任することとなりました。
それに伴い、経営体制を刷新。これまで取締役としてビジネス領域をリードしてきた鈴木琢人に加え、プロダクトマネージャーの清水環が新たに取締役として就任しました。
創業から8年。プロダクトと組織の両輪で成長を続けてきたmicroCMSは、なぜ今このタイミングで舵を切ったのでしょうか。そして、microCMSが次に目指す未来とは——。旧代表の松田と新代表の柴田、取締役の鈴木、そして新たに経営陣に加わった清水の4人に話を聞きました。
 

創業から8年、新体制への移行。その背景にあった想い

 
—— まず、今回の代表取締役交代に至った背景を教えてください。
 
松田:
microCMSを立ち上げて以来、僕はプロダクトとコーポレートを中心に見ていたのですが、ビジネスの基盤を整えて強化することが次の課題でした。1年半ほど前にエイチームグループの傘下に入ったのもそれが大きな目的のひとつだったんです。傘下に入ってから1年が経過して、ビジネスサイドのチームが形になってきた実感があり、このタイミングで代表を降りようと思いました。
microCMSはすでに独り立ちしつつあって、ここから先は走らせていくフェーズ。そう考えたときに、自分ではなく、事業をより推進できるリーダーに任せるべきだなと思ったんです。
 
—— 創業者としては大きな決断ですよね。
 
松田:
そうですね。でも創業したときから、いつかは誰かにバトンを渡すつもりでした。
それに、もともと僕は「ものを作ること」が何より好きなんです。ものを作る人間として、microCMSというプロダクトが独り立ちしていくのは嬉しいんですよね。チームとして成熟してきた今がバトンを渡す最適なタイミングじゃないかと思いました。
 
 
—— 共同創業者である柴田さんは、松田さんのこの思いをどう感じていたのですか。
 
柴田:
代表を離れることは松田さんとかなり前から話していました。松田さんは以前から「連続起業家になりたい」と話していたので、いつかはそのときが来るんだろうなと。
実際に代表が交代するとなると、会社にとってはやはり大きな出来事です。僕自身も引き継ぐ覚悟が必要ですが、長く一緒にやってきた分、迷いはありませんでした。
ただ、代表と副代表では責任の重さが全然違うと感じています。これまでは松田さんの一歩後ろで動いていましたが、今は「30人以上のメンバーの生活を預かっている」という実感がありますね。正直プレッシャーもありますが、後ろを振り返っても仕方がない。前を向いて進めるだけです。
松田さんの「フラットに俯瞰して見る姿勢」は受け継いでいきたいなと思っています。松田さんは常に全体を見て、必要なときにはスパッと決める。その判断力は経営に必要不可欠ですからね。
 
 

「開拓」と「仕組み化」のバランスが取れた3人体制で挑む新経営陣

 
—— 新体制では、柴田さん、鈴木さん、清水さんの3人で経営を担います。それぞれの役割はどのように考えていますか?
 
柴田:
人には「開拓するタイプ」と「仕組み化するタイプ」があると思っていて、僕はどちらかというと開拓していくタイプ。新しいことにどんどん挑戦していくのが好きなんです。
清水さんはその対極で、すでにあるものの仕組みを整えるのが得意。鈴木さんはその中間で、全体を見ながらバランスを取ってくれるタイプですね。3人の性格がうまく補完し合える布陣になっていると感じています。
 
 
—— 今回新たに経営陣に清水さんが加わったわけですが、清水さんが適任だと考えたポイントを教えてください。
 
鈴木:
最初から「清水さんが入るのが自然だよね」という雰囲気だったんですよね。清水さんのように、プロダクトとビジネスの両方を見ることができる人が経営陣にいるのは大きいと思っていたんです。
それに、清水さんは社員が数人しかいなかったころから在籍していることもあって、microCMSの内も外もよく理解しています。部長としてすでに高い視座も持っていたので、取締役就任に違和感は全くありませんでした。
 
—— 清水さん自身は、取締役に指名されたとき、率直にどういう思いでしたか。
 
清水:
正直なところ、そこまで驚きはなかったです(笑)。
まだチームが小さかった頃から、「全員でこの船を漕がないと沈んでしまう」という意識で、肩書きは関係なく、経営陣と同じ視座で事業に向き合っていたからかもしれません。
これからも、ビジネスとプロダクトの両方を見てきた強みを活かして、いろんな人の意見を翻訳しながら両者をつなぐ立場として貢献できればと思っています。
 
 
—— 松田さんは、この新体制に対してどんな印象を持ちましたか。
 
松田:
僕がいる頃より、バランスが取れているんじゃないかな(笑)。清水さんはプロダクトへの理解が深く、鈴木さんはビジネス感覚が鋭い。柴田さんはそれをつなげる“調整役”としてちょうどいい立ち位置。いいチームだなと思っています。
 

メンバーへの信頼を前提にした“ホワイトな社内文化”はそのままに

 
—— microCMS は創業当初から、いわゆる“ホワイトな働き方”を大切にしてきました。組織が大きくなった今、その文化はどう維持されているのでしょうか。
 
松田:
創業当初から、「誰かが無理をすることで成り立つ会社にはしたくない」という思いがありました。ヤフー時代に感じた“人を大切にする文化”を引き継いだ部分もあります。
初期は柴田さんと2人だったので言葉にしなくても通じていましたが、人数が増えるとそうはいかない。だからこそ働くうえで大事にしたい「バリュー」を明文化したんです。社内のSlackで「ナイスオープン」「ナイス誠実」とスタンプを押し合う文化が生まれているのを見ると、社内にしっかりバリューが浸透しているんだなと実感できて嬉しいですね。
 
 
鈴木:
僕はエイチームからジョインしたので、違う文化を持つ会社から来た立場ですが、根底にある雰囲気はとても近いと感じました。ただ、働き方のスタイルはかなり見直す機会になりましたね。
エイチームの時は長時間でも頑張って結果を出すために働いていましたが、microCMSは“短い時間で高い生産性を出す”という文化が根づいています。自動化や仕組み化で効率を高めて、しっかり成果を出す。この文化が組織全体に浸透していて、とてもスマートだなと感じました。
 
柴田:
僕たちは「フルリモート」という働き方も守り続けています。よく「リモートだとサボる人が出る」と言われますが、うちでは一度もそういう話題が出たことがありません。メンバー全員が高い意識で仕事をして成果を出しているから、お互いを信頼しているんですよね。
それに、経営陣がメンバーを疑い始めたら終わりだと思うんです。信頼を前提にした組織でありたいですから。これからも場所や時間に縛られず、メンバー全員が自分らしく働ける環境を維持していきたいですね。
 
鈴木:
もちろんフルリモートにも課題があります。特にジュニア層にとっては、学びの機会が減る側面もある。だからこそ、SlackやNotionなどを駆使して、情報共有の仕組みを整えることが重要です。見えないからこそ、見えるよう工夫する。それが microCMS の強さのひとつだと思います。
 
清水:
自分は前職が出社文化だったこともあり、入社当初は「この先ずっとフルリモートでやっていけるのだろうか」と疑問に思うこともありました。ですが、気づけば今ではそれが当たり前のこととして自然に受け入れられるようになっていますね。
非同期コミュニケーションを中心とした文化になることで、知見が文章として蓄積されていく点はメリットが大きいと感じています。これは、AI時代においても非常に重要なことだと思います。
 
 

PLG+SLGで加速する「第二創業期」。海外展開や新規事業も視野に

 
—— 新体制になった今、これから注力していきたいことを教えてください。
 
柴田:
M&Aを経て落ち着いた時期が続いていたので、ここからはもう一度スピードを加速させていきたいです。「第二創業期が始まった」という感覚ですね。
プロダクトサイドは清水さん、ビジネスサイドは鈴木さんに任せながら、自分は中長期的な視点で新しい領域を開拓したいです。海外展開や新規事業など、これまでリソース不足で手をつけられなかったことに挑戦していきます。清水さんと鈴木さんがしっかり基盤を作ってくれているので、自分は思いきり舵を切れる感覚があるんですよね。
microCMS は日本では珍しい PLG(Product Led Growth)型の SaaSです。もともと海外発祥のモデルなので、海外展開との相性もいいと思っています。もちろん、海外で事業展開していくためには覚悟も必要です。まずはエイチームが持つ海外事業の知見を共有してもらいながら、慎重かつ大胆に準備を進めていきたいですね。
 
 
鈴木:
これまではいいものを作れば自然と伸びるPLG型の成長が中心でした。でも、もっと多くの人に知ってもらえる余地はまだまだあると思っています。
そのためにマーケティングやプロモーションなど、こちらから能動的に動く「SLG(Sales Led Growth)」もさらに掛け合わせていきたいです。プロダクトの強みを軸にしながら、プロダクトの良さを伝える力を加えることで、成長をもう一段加速させたいですね。
 
清水:
カスタマーエンジニア時代から、数千ものお客様の声を聞いてきました。それをどうプロダクトに還元するか、これが一番のテーマです。お客様によりよい体験を提供できるプロダクトをこれからも作っていきたいですね。
iPhoneのような良いプロダクトは国境を越えると思っています。microCMSは現時点でも海外の競合に比べても使いやすさでは引けを取りませんが、まだ圧倒的とは言い切れないのが正直なところです。
生成AIの登場で、SaaS の“当たり前”もどんどん変わっていくことは、チャンスでもあり、ピンチでもあると言えます。最新の技術を取り入れて、プロダクトを磨き続けることが何より重要だと思っています。
 
 

創業者が託すメッセージ「変化を恐れず、最適化し続けてほしい」

 
—— 松田さんはこれからのmicroCMSにどんなことを期待していますか。
 
松田:
microCMSがここまで成長できたのは、あきらめずにいいものを作ってきた結果だと思います。microCMSが生まれるまでにはいくつもの試行錯誤がありましたけど、それでもあきらめずにいいものを作ることに向き合い続けた結果が今につながっています。
僕は経営からは完全に離れますが、これからも変化を恐れず、最適な形に常にアップデートしてほしいです。今microCMSで掲げているビジョンもバリューも、固執する必要はありません。そのときどきでよりよいものに変えていけばいい。変化しないものは弱いと思っていますから。AIや市場の変化を柔軟に取り入れて、文化やプロダクトを作り直していく。その感覚を大切にしてほしいですね。
 
 
—— 最後に、microCMSのユーザーをはじめとした皆さんに対して新経営陣からメッセージをお願いします。
 
清水:
僕は“当たり前をきちんとやること”を大事にしています。良いプロダクトを作って、それを使うお客様に成果を出してもらう。その積み重ねが全てだと思っています。さらに良いプロダクトに進化させていけるように、これからも当たり前をきちんと積み重ねていきたいですね。
 
鈴木:
いい人たちと、いい環境で、いいものを作る。このサイクルを絶やさず、より多くの人に届けるのが自分の役割です。自社の力だけでなく、パートナー企業の方々とも連携しながら、microCMS の価値を広げていきたいですね。
 
柴田:
microCMS がここまで来られたのは、ユーザーの皆さんのフィードバックのおかげです。一つひとつの声に誠実に向き合い、改善を積み重ねてきた結果だと思います。これからもデザイナー出身の代表として「シンプルさ」を維持しながら、スピード感を持ってプロダクトを進化させていきます。
 
 

 
変化を受け入れ、進化を楽しむ。microCMS の新たな船出が始まりました。
創業者の想いを受け継ぎ、次の成長フェーズへ。「いいものを作り続ける」という信念のもと、世界No.1のヘッドレスCMSを目指して、これからも進化を続けます。
 
****
 
皆さんもmicroCMSで一緒に働いてみませんか?皆さんからのご応募、お待ちしております!